たすたすの読書録

読んだ本の感想を書く。

「アイデアのつくり方」 ジェームズ・W・ヤング著 今井茂雄訳

第一は、この公式は、説明すればごく簡単なので、これを聞いたところで実際に信用する人はまず僅かしかいないということ。第二は、説明は簡単至極だが実際にこれを実行するとなると最も困難な種類の知能労働が必要なので、この公式を手に入れたといっても、…

「ねらわれた星」 星新一著

小学校の図書室にありましたよね、星新一先生のショートショート。 かくいう僕もショートショートを読み漁っていた小学生の一人です。『かいけつゾロリ』シリーズも好んで読んでいたのですが、"読書をする"という行為にのめり込む契機となったのは、紛れもな…

「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」 ジョン・マコーミック著 長尾高弘訳

昔は良かったなあ、なんてよく囁かれる。 なにを言っているのだろう、このオジサンは。今のほうが買いたいものをすぐに買える――しかも、家から一歩も出ることなく。誰とも気軽に連絡が取れる。なにしろ僕らの周りは常にモノで溢れていて、昔に比べたら遥かに…

「BGM」 YELLOW MAGIC ORCHESTRA

本日は番外編です。 最近は試験勉強の追い込みで忙しく、本を読む余裕がありませんでした。でも、イヤホンなら相変わらず耳に突っ込んだまま生活していましたので、じゃあ音楽の話でもすればいっか、という当然の成り行きですが、なにか? これからもたまに…

「江戸川乱歩傑作選」 江戸川乱歩著

完全な球体の内側を一面鏡張りにして、ランタンなどの光源を持ってその中にすっぽりと入ったら、自分の姿はどのように映ると思いますか? 僕は中学生の頃に読んだ江戸川乱歩先生の本で、この問いを投げかけられました。 はたして、どうなるのだろう。 一般的…

「決断力」 羽生善治著

いつだったか忘れてしまいましたが(たぶん再放送とか)、何の気なしに見ていたプロフェッショナルがたまたま羽生善治先生の回でした。2003年の名人戦――森内九段との七番勝負。 駒をどう動かせばいいのかすら全く知らない僕でしたが、一気に惹きこまれてしまい…

「やおきん公認 うまい棒大百科」 うまい棒同盟監修

みなさんは『うまい棒』にまつわる思い出、あったりしますか? 親に貰った10円玉を握り締め、生まれて初めての買い物。青春の味。おふくろの味。人生のどん底に突き落とされたとき――お前は相変わらずいつだって10円だなあ、その裏にどんだけ血と汗の滲むよう…

「火花」 又吉直樹著

正直に白状します。 僕は又吉先生が『火花』を出版されたとき、ないしは、芥川賞を受賞されたとき、"その辺の薄っぺらいミーハーみたいにはみられたくない"という変な意地を張っていて、頑なに読もうとしませんでした。流行には乗りたくないみたいな。ただの…

「そして生活はつづく」 星野源著

最近というか――写真を撮ってツイッターに載せ始めたのはほんとうに最近ですが――確か今年の春ぐらいからかな、積極的に自炊をするようになりました。トイレ掃除も、去年の春からずっと週一ペースでやっているし。着々と独り暮らしへの準備ができてきています…

「蘇える変態」 星野源著

この本は、おっぱいの話から始まります。 確かに、『おっぱい』って凄い言葉ですよね。促音といい、半濁音といい、日本語の巧緻を極めた最も美しい単語といっても過言ではないと思うので、もっと胸を張っていいと思います。おっぱいだけに。 僕なんかが紹介…

「変身」 フランツ・カフカ著 高橋義孝訳

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。 この冒頭の一文を読んだだけでも分かるように、どこか他人事というか、物語の終盤まで一貫して冷静な主人公・グレーゴルがな…